高齢になり病気やケガで体が不自由になったらどうしよう!?
~大丈夫です。対策があります。
年齢を重ねると、将来の不安や心配が出てきます。
この不安や心配は、自分のことだけでなく、両親や親戚、友人などの自分の大切な人の場合もあるでしょう。
その不安の一つが、「高齢になり病気やケガで体が不自由になったらどうしよう」、ということです。
体が元気であれば、銀行預金の出し入れや、役所での住民票や戸籍謄本などの取得は大した苦労もなくできます。当たり前に思っていませんか。
しかし、病気やケガで体が不自由になると状況は一変します。
自分では難しくなった時に、周囲に信頼できる人がいれば、その人に依頼したいですね。
しかし、銀行や役所に自分の信頼する人に代わりに行ってもらっても、預金の払い出しや役所の住民票などの取得は断られます。
本人の委任状を持ってきてください、と言われたらどうしましょうか。
ここで、このようなことで困った経験をした方の事例を紹介します。
その方の名前を仮に山本一郎さんとします。
山本さんのお父さんは、老人ホームに入所中です。
先日、お父さんに定期預金の解約を頼まれて、通帳と銀行印を預かって銀行に行きました。しかし、銀行では受け付けてもらえませんでした。
窓口の銀行員からこう言われました。
「お父さんが全文を自筆で書いた委任状を持ってきていただかないと、解約はお受けできません」と。
そして、委任状の見本をもらいましたが、父親にとってはかなり長い文章に思えました。
早速、父親に委任状を書いてもらったのですが、山本さんの予想通り、父親にとってはかなりの負担だったようで、「この次は、委任状は書けないよ」と父親から言われました。
今後、また銀行手続き等が必要な時が来るでしょう。その時、どうしたら良いかと、心配になったそうです。
そこで、私の行政書士事務所に相談に来られました。
私は、山本さんからじっくりお話をお聞きして、対策として「委任契約」を父親と結ぶことを提案しました。
この委任契約は、あらかじめ信頼できる人、つまりこの場合は息子の一郎さんを相手方として銀行や役所の手続きを一郎さんに依頼できる契約です。そしてこの契約は、お父さんが体の不自由を感じた時に、一郎さんにお願いしますと意思表示をした時から委任契約が開始になります。
契約なので、報酬は自由です。一般的に親族の場合は無償ですのでこの場合は父親の金銭的な負担はありません。
もし、報酬が有償の契約であっても、本人が意思表示をするまでは、報酬は発生しませんので、保険のつもりで契約だけは早めに結んでおくことをお勧めします。
委任契約で依頼できる主なものを紹介します。
- 銀行の預貯金の出し入れ
- 役所の住民票や戸籍謄本等の取得
- 老人ホームへの入所手続き
- 銀行の通帳、銀行印、実印等の預かり
- 権利証の預かり
なお、委任契約は本人が元気なことが条件ですので、認知症になると無効になります。
このため、認知症になっても切れ目なく支援ができるようにすることが重要です。
そこで、「任意後見契約」という契約を結ぶことをお勧めします。この契約は本人が認知症になった時も、信頼できる人が「委任契約」に引き続き本人の権利を守ることができます。この契約は公正証書で作ることが一般的です。
「任意後見契約」については、別の動画で説明しますので、ぜひご覧ください。