人生の最終章を自分らしく生きていくために、必須の備えが5つあると思います。
それは
- フレイルへの備え
- 認知症への備え
- 延命治療への備え
- 死後事務の備え
- 遺言書の備え
の5つです。
それでは、一番目の「フレイルへの備え」からお話ししたいと思います。
突然ですが、「フレイル」ってご存じでしょうか。
最近、週刊誌や単行本でフレイルについて書いてあるものを見ることが多くなりました。
「フレイル」とは、医学用語のようですね。frailty(フレイルティ)の日本語訳です。
神戸市のホームページにある資料の解説が分かりやすいので、引用します。
「フレイル」とは、「病気ではないけれど、年齢とともに筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態のこと」です。
本来であれば、この状態では頭がしっかりしていて判断力がある状態ですので、銀行での預貯金の出し入れや、役所の手続きなども他人の手を借りる必要はありません。
しかしフレイルにより歩行が困難になると、一人では銀行に行って預貯金の出し入れができません。
また、誰かに代わりに銀行や役所の手続きを頼みたいと思っても、手指が自由にならなくなって委任状を書くことができなくなる人もあります。
こういう状況では、自立した生活は難しいです。
何か対策はないでしょうか。
あります。
それは、「財産管理委任契約」を最も信頼できる人と結ぶことです。
この契約の内容は、自分で決めることになります。
そして、この契約内容は「代理権目録」として文章にします。
尤も、この「代理権目録」は将来委任したいと思うことを最大に網羅します。そして、この中から、その都度委任することを相手方の受任者に依頼して実行できます。
具体的な例では、預貯金の出し入れや役所への申請手続きなどです。
預貯金の出し入れの場合は、委任者が望むときに、受任者に預貯金通帳と印鑑を預け、必要な金額を下してもらい現金を受け取ることができます。
あくまで決定は本人ですので、丸投げではないのですね。
参考に「代理権目録」に記載する他の例を紹介しましょう。
・本人の通帳、権利証、実印等を預かってもらう
・要介護認定の申請
・有料老人ホームの入所契約の締結
・所得税、住民税等の確定申告
・年金の受領
・施設使用料(入院費等)の銀行からの引き出し~支払
・本人の毎月の収支報告、小遣いを届ける
など
この「代理権目録」を作成する場合、自分だけで検討するよりも、行政書士などの専門家と話しながら作成するとあなたが納得できる、抜けのない「代理権目録」ができると思います。
また、以上説明してきた「委任契約」は、フレイルの状態への対策ですが、その後認知症が発症した時の対策である、「任意後見契約」と合わせて作成するのが一般的です。
このことは、次の「認知症への備え」で解説します。